人材育成

いま世界はのっぴきならないところまで来ている。しかし、他人のせいにしていても始まらないので、何かを始めなくてはならない。財政再建には無駄を切り詰めたことが国民にはっきり理解される具体的政策の実行が不可欠だ。同時に国内景気の浮揚策も。国内景気の浮揚策としては震災復興特需もまたとない機会であるが、仕事の分配がうまくいっているとは言い難い。消費税増税は、タイミングの悪さを絵に描いたような愚策である。何でもかんでも一律に増税しようということ自体が国民の生活を理解していない何よりの証左であろう。財政再建には単なる仕分けというパフォーマンスだけではどうしようもない。もっと踏み込んだ実効の伴うものでなければ国民の納得は得られない。国民の納得とは偏に「見える化」である。景気浮揚策については一朝一夕に成し遂げられるものではないので長期的かつ実効を伴う政策が不可欠だ。そうなると国の基盤となる人づくりまで遡らなければならない。人づくりとは、単なる高等教育ではない。個人個人の特性や個性を生かし切る教育のあり方であり、それは一律的なものではないはずである。そうなると当然のこととして家庭の在り方を見直さなければならない。家庭こそ最高の教育の場であり、一人一人の個性を引き出し伸ばしてあげる場だからである。それを後押しする方法として子供の医療費無料化、食料・医療などのゼロ消費税或いは引き下げも考えなくてはならない。

また、一人一人の人生を考えた時、日本人は子供を教育し家を建てると一生が終わってしまうほど貧しい。豊かな人生とは単なる子供の教育と家を建てることではないはずである。だから国も個人も同時進行でいろんなものを見直し、自体に相応しい方策を立て、実行する必要があるのだ。

 以前私は、取引銀行から企業を紹介された。早速アポを取り訪問したら、なんと私の高校時代の先輩ではないか。ちょうどその時に手がけていた装置があったので、早速先輩に相談したが、その後肝心の装置はみんなで営業展開したにも拘わらず鳴かず飛ばずの状態。最近はほとんど諦めかけていたが、ここに来て賑やかになってきたのである。そこでまたまた先輩の会社を訪問し詳細な打合せを行ったが、話を聞けば聞くほど凄い会社だなと感嘆するばかりである。その主たる要因は、つねに改善改良を重ね独自の技術を確立していることであり、独自の技術にも拘わらず価格競争力が強いということだ。先日、たまたま出荷直前の形の似通った装置があったので見せてもらったが、一見華奢な材料構成にも拘わらずひじょうに剛性があり、「これなら大丈夫!!」と安心したところであった。私はこの筋の素人だが、先輩の説明はどれを聞いても合理性があり学ぶところ大である。工場内を見せてもらったところ、何処にでもあるような金属加工機械だが、先輩の長年にわたる改善改良と創意工夫はちょっと見ただけでは真似のできるものではない。資金力にものをいわせて買収すればよいと考える向きもあるだろうが、先輩にはこれまで苦しさに耐え抜いてきた自負と誇りがある。これからきっと花が咲くだろう。

 今日は遠方から往年のアスリートが来られた。間もなく79歳になられるとのことだが、とても活力に満ち言葉も明瞭な先生である。なんでも福島県内の疾病治療で有名な温泉に入り、魚料理が美味しい小名浜港で昼食を済ませ、それから弊社の低圧室に入りたいとのことだった。先生は午後1時前にいつもの車で現れたが、今日は2回連続して入室したいとのこと。私は、先日から長距離ランナーの走法についてご指導いただいていたので、先生のお話を伺うのがとても楽しみだった。早速、先生と一緒に低圧室に入りお話を伺ったところ、「先日、五輪ゴールドメダリストを育てたかの有名な監督とも話してみたが、やっぱり楽に走れることが基本である。」と仰るのである。この「楽に走れることが基本」という言葉は、いろいろ試行錯誤して辿り着いた含蓄ある言葉に違いないが、私には伝えるべき相手がいるのでどのように伝えたらよいかなかなか難しいものがある。「修行」という言葉は精神論的に聞こえるが、何度も何度も繰り返し練習し修練を積むにつれ「やっぱり、これが合理的なのだ。」と納得できるものがあるように、「楽に走れること」という言葉も最終的な到達点なのかも知れない。人生もこうありたいものである。

 先ほど家内から電話がかかってきた。無事にバングラディッシュから帰国したとのこと。私はちょうど急ぎの用事があったのでその用件を家内に頼んだところ、家内の方もバングラディッシュから「帰国する時に、空港で現地の友人にとても心配をかけたので、無事到着した旨の連絡をして欲しい」というのである。早速私は先日の着信履歴を頼りに電話をしたが、最初の一人は連絡が取れなかった。そこで、二人目に電話したところ、ちょうど上手く繋がり家内がたいへんお世話になったこと、無事に帰国できたこと、日本に来たらぜひホームステーに来て欲しい旨を伝えた。彼はとても喜んでくれ、「ぜひとも訪問させていただきたい」と元気な返事が返ってきた。私は、彼らが日本に来てもお父さんらしいことは何一つできないが、頼りにしてくれていることに心から感謝している。バングラディッシュの人々は、その勤勉さという点でベトナム人ととてもよく似ている。世界の製造工場はBRICSから他の国々に確実に流動している。東南アジアから一気にアフリカへ行く前に、バングラディッシュという国のあることを忘れないで欲しいものである。私は、バングラディッシュの人々が大好きなのだ。

IMG_0073_copy この写真は、本日訪問する予定の日本でいう鉄工所の工場風景である。写真を見た限りベトナムの工場と見分けるのは難しいほど日本のものと酷似している。彼らはひじょうに勤勉であることは再三申し上げたとおりであるが、それ以上にきわめて優秀な技術を習得しているのである。この工場で対応してくれたのは、細身でとても優しそうな顔立ちの女性であったが、後日送られてきたエンジニアリングデータはすべてがCAD(コンピュータデザイン)によるもので、より理解を促すために三次元データも添えられていた。
 先日、ハノイでは送電線のストラクチャを製造している会社を訪問する機会をいただいたが、彼らもまた日本の技術習得に積極的であり、ハノイ工科大学出身者を日本に送りたいと希望していた。このハノイ工科大学というのは世界トップクラスにランキングされるほど優秀な人材を輩出しているとのことである。