2010年 3月 14日

 30時間に及ぶロングドライブを経て九州に来て気づいたことは、いつの間にか春になっていたということである。野や山には木蓮や菜の花や山桜など春の花が咲き乱れ、雪模様が去ると一気に春の気配。昨日も今日も汗をかきながら仕事している有様。「寒い、寒い」と言っていた日が嘘のようである。
 何処に行っても、人が優しく温かい。この春という言葉は、単なる季節感ではない。すべてが春なのだ。行く先で、景色を楽しむものとは根本的に異なる世界である。努力するでもなくしないでもなく、精進するでもなくしないでもなく、継続するでもなくしないでもなく、根性でもなくそうでなくもなく、忍耐でもなくそうでなくもなく、何れにも拘りされど拘らず、何れにも偏りされど偏らず、何れにも囚われされど囚われず、形があるようでもありなくもあり、特定の切り分けのない世界がありそうだ。
 春というものはこういうものなのかと、ただただ感嘆するばかりである。

 今日は、お客様に迷惑をかけてしまった。というのは、機械装置の搬入日時は確定していたものの、その後の取扱方法の研修についてはスケジュール調整が不十分だったのである。そのことに気づいたのは、昨日ホテルに到着してからのこと。これでは遅すぎる。
 そこで、今日はお客様に我が身の非をお詫びし、機械装置の搬入据付作業に入った。私の勝手な希望によれば、明日には通電完了して直ちに取扱方法の研修に入りたいところであったが、肝心の電源工事は建物工事が完了してからとのこと。従って、通電はかなり遅れることを覚悟せねばならない状況である。
 やむを得ず私は、目前の課題である機械装置の正確な位置決めに専念することにした。しかし、お客様のご希望の位置に正確に位置決めするには道具が足りない。そこで、あり合わせの道具で位置決めすることにした。1メートル足らずの短いバールでは、2トン半もある重量物を持ち上げることはできないが、てこの原理を活用して二人で協力するとあの重い機械装置が一瞬だけ持ち上がるのである。だんだん仕事に慣れてくると横移動だってできるではないか。お客様と額や頭をぶつけ合いながら作業していると、だんだん呼吸もぴたりと合い思いのままに位置決め作業ができるようになっていた。
 そうこうしていたら建物工事の方は、予め用意しておいたツーバイフォー工法でみるみる形になっていく。そこで肝心の電気屋さんにスケジュールを聞いたところ、「明日は、都合により配線作業はできない」とのこと。やっぱり無理かと思っていたら「今日中に配線作業を完了する」という続きがあったのである。
 そんなこんなで、結果的には私の願っているスケジュールにぴたっと収まってしまったのである。これからは、お客様とより緊密に連絡を取り合いながら仕事を進めたいと思った次第である。