他力から自力へ

 今夜は寒中読誦(どくじゅ)修行二日目だが、その前に友人のお父様のお通夜に参列しなければならなかった。仕事を終えて礼服に着替えて葬祭場に着いたのは午後7時。ちょうどお坊さんによる通夜の読経供養が終わり、参列者が焼香している最中であった。私も焼香の列に加わり遺族親族のみなさんにお悔やみを申し上げ焼香をさせていただいた。
 この地域の習わしとして、お通夜の時には食べ物や飲み物を参列者に振る舞い、生前の故人を偲ぶ習わしになっているので、食べ物の一つも残っているのではと期待していたが食堂のほうはすべて片付けが済んだ後。そこで、やむを得ず近くのスーパーに隣接している食堂で拉麺を食べ、寒修行の会場へ向かった。
 寒修行の会場に着いてみると、まだ時間があったので、夕べ交通誘導をやった仲間のところで一休み。というのは食事をしてからすぐにお経を上げるのほど辛いものはないのである。そこで、交通誘導のお役を終えた仲間とお茶を飲みながら世間話で暇を潰し、腹の具合が良い塩梅になった頃を見計らい、寒修行の会場に着席した。
 早速、いま上げている教典のページを教えてもらい寒修行の輪に加わったが、今日の導師はお経の上げ方が無闇と速い。おまけにマイクが遠いため難聴の私には、今どの部分を上げているのか聞き取りにくい。さらにおまけは、最近ジョギングを始めたものだから、脹ら脛の筋肉が発達しすぎて正座が続かないのである。やむを得ず私は胡座をかかせてもらい、細かい文字の教典と格闘しながら二日目の寒修行を終えた。
 私は、この寒修行を40年近く続けているが、帰り道のトラック通行量定点観測は、その時点における景気状態を如実に反映しているので実に興味深いものがある。リーマンブラザース破綻後の寒修行すなわち2009年1月はトラックの通行量が著しく減少したが、このところトラック通行量は着実に増加している。その要因は、一部の輸出関連製造業の好調によるもの。その反面、公共工事の抑制などで地方経済は容易ならざる局面を迎えている。お金の流通量が極端に減少しているように思える。売上が半減している企業も少なくないようだ。
 しかし、他力で状況が改善されるはずはない。こんな時にこそ、思想や哲学に裏打ちされた思考力が問われている。考えれば何かが生み出されるはず。先ずは、考えてみよう。

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